第1章 覚醒編(ショタ期)

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なんつーか。ぶっちゃけ、丸出しのおちんちんをなすがままに他人にグニグニされてる現状ってのは、水着のアイドルのポスターを部屋に飾るより、もっと赤面すべきことなんじゃなかろうか、ってゆう。無知でヌルめなイナカモノのコセガレにもバクゼンと察しがついて。これって、いわゆる「エッチ」な行為なんじゃ……って。 「恥ずかしい」という感情が、いまさら襲ってきた。雪崩のように。ドバドバーッと。カズくんに見つけられたら、どうしよう。どうしよう。どうしよう。ホントに。キイっちゃん、もう、ホントに。なんで、こんなことすんの? 雪景色をガラス戸1枚でへだてた冷たい廊下の板の間を、分厚い靴下にくるまれた子供の足がホタホタと走り抜けていく少しくぐもった足音が遠ざかって行くのを、鼓膜に全意識を集中させて聞いて。オレは、心底ホッとした。 目の前の押入れに隠れてるヤツがいるとは思いもよらず、オニは去って行ったんだ。良かった。 ガチガチにこわばってた体からイッキに力が抜けて。不本意ながら、キイっちゃんの胸によりいっそう深くもたれかかるテイになった。 キイっちゃんは、オレの顔を上からのぞきこむ姿勢で、唇を寄せてきた。 生温かくしめった粘膜の感触。オレの顔を這いまわる。ホッペタを。オデコを。アゴを……そこ、くすぐったいし。 もう、なに? わけ分かんないもん。 「キイっちゃ……ん……?」 しぼり出した声は、まともな言葉にならずに。おかしなウメキ声に変換された。そのウメキ声も、すぐにふさがれた。 ヌメヌメした粘膜。キイっちゃんの上唇がオレの下唇をふさいで。下唇は上唇にマトワリついて。舌がオレの舌にカラミついた。 「ふぁ……っ……ん」 絡まり合う唾液の味。絡まり合う粘膜。 じゅるじゅると吸い付かれたら、どうやって息をしたらいいのか分かんなくなって。かなり混乱して。 セッパつまって……このまま死んじゃうんじゃないかと思った。 「んん……っぅううう」 ガチガチふるえながら、見上げた。暗闇にキラキラ輝く2つの光……キイっちゃんの目がオレを見返す。 キラキラっつうより、……ギラギラ、だ。 その異様なキラメキを見たら、本物のオニに出会ったみたいな素っ頓狂な妄想が、一瞬でオレの頭を占めた。 オレは、たぶん、少し涙を流した。……ほんの少し。怖くて。めちゃめちゃ混乱して。目を閉じた。 ギラギラしたオニの目の光から逃げたくて。それで、自分の目を閉じたんだ。 そうしたら、本物の暗闇がやってきて。 なんて言ったらいいんだろう、あのときの感覚……頭のスミッコに隠れてたスイッチが自然と入ったみたいな。 例えようがないんだけど。しいて例えるならば、腕の悪い新米パイロットの操縦する飛行機が墜落寸前に自動的にオートパイロットモードに切り替わったら、ヨユーでピンチを回避できたどころかアクロバティックなスーパーフライトで観客の喝采を浴びた、みたいな? あー、もうっ……何ゆってんだろ、オレ。 とにかく、キイっちゃんにちんちんを弄られながらキスされて。パニックになって目を閉じた瞬間。オレの感覚器官は、なんつーか、……オートマチックなモードに切り替わったんだ。いや、もう、むしろ、本能が解き放たれたっつーべきか……あー、マジでアホだろ、オレ。 でも、だって、ホントに。キイっちゃんのキスは、それくらい気持ちよかったんだ。そう。正直なところ。 ランドセルしょいはじめたばっかのガキんちょのオレが。キイっちゃんのキスにメロメロになっちゃったの。ガチで。 うん。……きっと、もともと真性だったんだと思うわ、オレ。
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