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…………。
……なぁんちゃって、ね。
ごめんね、先生。そんなのでダメージを受けないんだ、僕は。残念だったねぇ。
どうしてって? そりゃあ、だって。なにしろ、僕は、「それ」を守るために命をかけて戦ったことがあるから。
あのとき、僕を神童とあがめてついてきてくれた大勢の人たちが流した血も含めて、ゆるぎなき免罪符ってわけ。
もっとも、今なら、「あいつ」の似顔絵を踏み付けろって誰かに命じられれば、喜んで応じるけどね。ふふふ。
あのとき、「それ」にハリツケられながら、燃えさかる炎の中で串刺しにされて断末魔の叫びをあげていた僕たちを、「あいつ」は黙って見殺しにしたんだから……。
なんの話、って?
日本史の教科書にも載ってるから、先生も知ってるはず。
ほら、「島原の乱」って。あれ、何を隠そう、主役は僕。
……まあ、とにかくさ。そんなわけで。
僕は、僕らの血族の最大のウィークポイントを、最初っから克服してるんだよ。いうなれば、血族の中でも最強ってこと。
……真っ昼間の太陽だけは、まだまだ克服できそうにないけどね。
……あれれ? ……ねぇー? ねぇってば、……ちゃんと聞いてる、先生?
ああ、……そんな顔しないでよ、この世の終わりみたいな絶望的な顔。
僕と先生の世界は、これから始まるんだから。
そう、そうだよ。もっとこっちに……。僕に身をゆだねて……僕の目を見つめて。
クチビル、少し青ざめてるね。ぷるぷる柔らかく震えて……早摘みの果実みたい。
……おいしそう。
先生、キスするのも初めて? だったら嬉しいな……。
…………、……っ!?
……ひどいなぁ。……痛いよ、先生。
……いきなり舌に噛みつくなんて。優しいフリして、実はわりとSっ気あるんだ?
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