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6(完結)
ああ、ほら……血が出ちゃったじゃないか。
先生、……ねぇ、先生……?
……大丈夫だよ。動いちゃダメ。じっとして。落ち着いて。心配いらないから……。
ほんのちょっとの間、カラダがしびれるだけだから。
それからじきに、気が遠くなって……。
平気。平気だってば。ほんの小一時間ばかり、意識がなくなるだけだよ。
目が覚めたら、もう、先生は僕と同じ血族に生まれ変わってる。
だって、僕の血をそのカラダの中に受け入れちゃったもん、ね?
ちょっとばかり物騒なファースト・キスを通じて……。うふふ。
どう? ……クレバーな策略家って、こういうこと。
おやすみ、先生……。
目が覚めたら、一緒に、僕の父親のところに挨拶に行こう。
……正直なところ、「年の差がありすぎる」って、さんざん反対されたんだけど。しまいには僕、「ヘンタイ」呼ばわりされたほど。……実の親子ではないにしろ、“血を分けた直系”に向かってあんまりだよね。
でも、先生に直接会ったら、きっとコロッと気が変わるに違いないよ。
それどころか、こんなに若くてピチピチした花嫁を連れてったら、妬まれちゃうかもしれないな。
この世に生まれて395年目にして芽生えた、僕の遅咲きの初恋。
僕より356才も年下の、幼く初々しい僕の花嫁……。
……未来永劫、幸せにするよ。
―――END―――
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