第三章 笑えや笑え 三

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 真顔で愛していると言われると、聞いている方が照れてしまう。それに、紀行は絵になっていて、まるで映画のワンシーンのようだ。  金太楼が、紀行のせいで、別世界になっている。 「毎日、八起にただいまと言い、一緒に過ごす……それだけでいい。ただ、それだけの毎日が、死ぬまで続いて欲しい」 「兄ちゃん??」  金太楼にいるのに、それ以外ない程に周囲が見えなくなり、紀行しか見えない。こんなにかっこいい人を、俺は見た事がない。紀行がいると、俺の視界の全てを奪われてしまう。 「八起…………愛している…………ん?」  紀行も俺の傷口を見つけると、そっと舌を這わせていた。 「クソマズ!!!!!!!!激不味い!!!」  感想は分かっていたが、いつも通りの反応で、どこかほっとした気分になった。 「黒瀬さんは、デモンズさんからのパートナー変更か……」  紀行は、俺の周辺で起きている事を、情報収集していた。そして、常に分析している。 「……黒瀬さんも、悪魔が産める。そして、その悪魔は所有者を潤す。政治的な成功も、経済的、知名度での成功も、黒瀬さんを所有した者の思うがままだ……」  だから、黒瀬を所有する者は、より強くなるしかない。黒瀬を所有し続ける事は、ライバルに勝ち続けてゆくしかないからだ。 「それに、黒瀬さんはかっこ良くて、とても綺麗だ…………そのせいで、所有者の優越感を刺激してしまう」
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