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やがて、三人も郁斗と同じように皮が服を着ただけのようなペラペラの状態になり、地面に崩れ落ちた。
「さあ、美味しかったかい、かわいい子供たち。また、この新しい人間の中に入り込んで、誰かをここに連れておいで。そうしたら、また美味しいものが食べられるからね」
無数の蜘蛛の子たちは、郁斗も含めて四人の皮の中に入り込み、背中から母蜘蛛に繋がっている糸によって操られながら、また新たな食料を探しに洞穴の外に出ていった。さながら、擬似餌のように。そうワタシはずっと探していた。擬似餌のようになる存在を。
「さあ、かわいい子供たち、美味しいものをたくさん食べて早く大きくおなり。そして、ワタシの食料としてワタシを満足させておくれ」
我が子の成長が楽しみ。大きくなれば、より美味しくなり、ワタシの栄養となってくれるから。
『洞穴の探しもの』
了
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