第壱話 曇天、廃社、出会い

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実はユウには、人とは少し違った不思議な感覚を持っていた。 彼女には、人と目を合わせただけで、その人がどんな気分になっているかが瞬時に分かってしまうのだった。 どんなに表情1つ変えなくとも、目を見ただけでその者がどんな心中にあるかが分かってしまう妙な感覚。 初めの内は、その感覚を使って子どもながらに分別がつかない故に、出会った人々の胸に秘めた感情をつい口に出してしまい、ついに誰ともユウと口を聞いてくれなくなり、村人から疎まれるようになった。 当然仲良く遊んでくれる友達もいないため、ユウはとても寂しい思いをしていた。 しかし、今向かっている神社にいると、その寂しさも楽になり、落ち着いた気分になるので、すっかりユウのお気に入りの場所になっていた。 神社について鳥居をくぐり、賽銭箱の前の石段に腰掛け、穏やかな表情で空を眺め始めた。すると、 「こんなところで何してるの?」
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