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『ただいま~』
『エミ!どこに行ってたの!?黙って行っちゃうんだから!心配したのよ!!』
『ごめん……ちょっとね』
顔をほころばせながら、靴を脱いでいるエミ
『……………?』
そんな娘の様子を見ると疑問符が頭の上に浮かぶ
『何かあったの?』
『――絶対内緒♪』
笑みを向けてから、家の奥に入っていく――
『??』
〈パタパタパタパタ〉
階段を駆け上り
部屋に入る
〈バタン〉
『……………』
〈ドクドクドクドク〉
今さらながら早鐘を鳴らす心臓
『……………』
手を胸に押さえ当て
鳴り止むのを静かに待つのだが
〈ドクドクドクドク〉
さらにその鐘は強く激しく打ちつける
“会ってきちゃった~♪”
〈ドクドクドクドク〉
“抱き締められちゃった~♪♪”
〈ドクドクドクドク〉
思い出すだけで顔が真っ赤になってくる
『どうしよ、どうしよ、どうしよ~~』
〈ドクドクドクドク〉
とりあえず気持ちを落ち着かせるために、ベッドに腰掛ける
『あぁ~~もう~』
〈ドサッ〉
ベッドに仰向けになる
『連絡先、聞いておけばよかった~~!』
“……………”
天井を見つめる
〈ドクドクドクドク〉
“また……どこかで会えますよね”
傍らのバッグから“花”を取り出す――
『きっと――』
見つめる“花”の先に“夢”を見たような気がした
“……きっとまた会える……”
そして
そっと瞳を閉じた
午後10時―――
ダイニングルーム
CDプレイヤーから流れる優しい伴奏がその空間を包み込んでいた
🎵結えない髪を濡らすは雨🎵
『あなたから電話くれるなんて珍しいじゃない』
🎵One Way Lover🎵
『1年振りね』
🎵夜明けはBlue…🎵
『結婚記念日だなんて、あなた、そんなにマメだったっけ』
🎵涙の理由を教えて何故?🎵
『でももうこれで10年目ね』
🎵Lonesome Flower🎵
『“花の日”も……』
🎵微笑みを咲かせて🎵
『あっ、私の娘がそう呼んでるんだよ』
🎵夜がこんなに🎵
『え、知ってる?――何で?』
🎵寂しいなんて🎵
『え、秘密って――なんか、今日はそんなのばっかり――』
🎵生きるのが辛くなる🎵
『あ、こっちのハナシ』
🎵そして いつか失くした🎵
『でも、これで最後だね』
🎵夢のかけらが🎵
『10年間の約束、守ってくれてありがとう』
🎵星空を駆けてゆく🎵
『娘は楽しみにしてたから……ちょっぴり残念だけどね』
🎵涙の天使が私に宿り🎵
『えっ……何?また来年もやるの?』
🎵見えない運命に翻弄ばれる🎵
『どうしたの急に?』
🎵いつの世も心にしみるは懐かしいメロディ🎵
『……新しい約束?』
🎵この街を流れる🎵
『え?……………エミと…………何で?……まさか………逢ったの?』
🎵結えない髪を濡らすは雨🎵
『…………………』
🎵One Way Lover🎵
『それでか……あの娘…』
🎵夜明けはBlue…🎵
『………とっても嬉しそうだった………』
🎵涙の理由を教えて何故?🎵
『理由を聞いても教えてくれなかったんだから~』
🎵Lonesome Flower🎵
『エミ………?もう寝てるよ』
🎵微笑みを咲かせて🎵
『……気になるの?』
🎵少女の頃の🎵
『……………!?』
🎵燃える夕日が🎵
『…………知ってたの??』
🎵黄昏に変わる時代だから🎵
『……名前かぁ……』
🎵母の背中で🎵
『気づいちゃったんだ……』
🎵見ていた夢を🎵
『………………』
🎵いつの日も忘れない🎵
『あなたの言うとおり――エミは“ミハル”だよ』
🎵愛する誰かとめぐり逢えたら🎵
『あなたと私の…たった一人の子供だよ……』
🎵大事ないのちが世に報われる🎵
『彼女の名前は――二人で決めた名前の“美映(ミハル)”から名付けたんだ……』
🎵泣きながらひとり歩いてた星屑砂漠🎵
『“映美(エミ)”って……』
🎵幸福を求めて🎵
『いつか……彼女にも……その事を伝える日が来ると思う……それは、彼女が夢を持って……大人の階段を登り始めた時かな……って勝手な考えだけどね』
🎵涙の天使が私に宿り🎵
『あなたが選んだ道もまた理解できる年頃がいいじゃない………』
🎵見えない運命に翻弄ばれる🎵
『案外、近い未来になるかもしれないよ……私はそう思ってるんだ……』
🎵秋の日に鳴らす口笛は面影ワルツ🎵
『女の子の成長をナメんじゃないよ……』
🎵この街は消えない🎵
『…………え?…………楽しみ?…………私もだよ…………じゃあ………おやすみ……』
花の日のドラマ
完
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