Y-5 Yの日のドラマ

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『し~~ちゃん、またボーっとしてるぅ~』 『え……違う違う』 しつこいようだが、ボーっとしているわけではない 小説の舞台設定を切り替える時には、ちょっとした感情の入れ込み具合を変えなければならず……それが大変で…… 『しずか、また妄想~』 『だから、違うって……』 午後の校庭 マキ、あっちゃん、そして、私―― いつもの3人 グラウンドへ通じる階段 いつものポジションに いつものようにジャージのままで腰掛けている 『しずか、昨日はどうしたの?急に帰っちゃって』 『あ、あれね……ちょっと用事思い出してね…』 『せっかくヒデ様の余韻に、し~ちゃんと浸りたかったのにね~』 『ごめんね』 『でも、しずか、昨日のヒデ君は、確かにカッコ良かったじゃない?』 『そうだね……』 『サッカーするヒデ様も素敵だけど、ギターを弾くヒデ様もいいよね~し~ちゃん』 『……そうだね』 何だ? 何故、私にばかり同意を求める? 二人揃って―― 『しずか、やっぱり“人生はライブ”みたいなものなんだよ』 『ライブ?』 『バラードがあったり、ロックがあったり……盛りあがったり、浸ったり、色々あるってコトだよ』 『………マキさぁ~……小説書いてみたら……』 『ん?』 『絶対、当たるよ』 『小説家……ムリムリ…』 『私が言うんだから間違いないよ』 『………?何で、しずかが言うと間違いないの?』 『え?あ、それはね……え~と』 『あっ!ヒデ様!』 『え!?』 〈ドクドクドク〉 彼の姿が視界に入るだけで 勝手に私の鼓動は高鳴る 『……………』 伝えないと 届けないと この気持ちを落ち着かせる術は無いの――? 『行っといで』 『え?』 隣のマキが私の肩を叩いた 『うん、そうだよ』 『……………』 あっちゃんも笑いかけながら顔をのぞかせる 『………………』 覚悟を決めないと いけないのかな 『――――!』 🎵涙を誘う夕暮れの街🎵 階段をゆっくり下る 🎵夏の日の思い出を噛みしめる🎵 一段、一段を確かめるように 🎵夜空に浮かぶ水色の月🎵 次第に近くなっていく彼の姿 🎵あの男性の面影を映してる🎵 その姿がこれ以上なく愛おしくて 🎵やさしい瞳で私を抱いてくれた🎵 『!』 彼の視線が私の視線とぶつかる 🎵最後の言葉が胸に残る I'm callin'🎵 〈ドクドクドク〉 🎵ハートがせつなくて🎵 この鼓動を大切にしたい 🎵誰より愛していたのに🎵 優しく響く鼓動 🎵夢を見る頃はもう二度と帰らぬ I'm fallin'🎵 〈ドクドクドク〉 🎵悲しいこの気持ち🎵 切なく響くこともあるけど 🎵本当の恋に落ちたのに🎵 心地よくも響く 大好きな鼓動 🎵今頃あなたは誰かを愛してる🎵 この気持ちも…… 🎵…I'm feelin'blue…🎵 ずっと忘れたくないよ 🎵心にしみる情熱の旅🎵 『あの……ヒデ……』 🎵日に焼けた恋人が戯れる🎵 『おぅ、しずか、昨日はありがとな』 『え?』 🎵二つの影が浜辺に落ちて🎵 『…………?』 『何で……先に言っちゃうの』 🎵口づけを交わしたら離れてく🎵 『?』 『私が先に言おうとしたんだけど………』 🎵このまま今私は雲に乗って🎵 『ヒデ……ありがとう……』 🎵あなたのところへ飛び出したい I'm callin'🎵 『あぁ……』 🎵心がちぎれちゃう🎵 『……………』 🎵あんなに信じていたのに🎵 『…………やっぱ、なんか久しぶりだな』 『……………』 🎵雨の降る音が夏の終わりを告げ I'm fallin'🎵 『しずかとこうして話すの、って……』 『……………』 🎵これ以上愛せない🎵 『昔はよく話したじゃん』 『………うん、そうだね』 🎵素敵な恋に落ちたのに🎵 『何か言いたいコトあったらどんどん言えよな』 『……………』 🎵この頃私はひとり泣き濡れてる🎵 “だったら言っちゃうよ” 🎵やさしい瞳で私を抱いてくれた🎵 『………………』 🎵最後の言葉が胸に残る I'm callin'🎵 『ヒデ………頑張ってね……』 🎵ハートがせつなくて🎵 『あ、おぅ……ありがとな』 『……………』 🎵誰より愛していたのに🎵 “いいんだ……これで” 🎵夢を見る頃はもう二度と帰らぬ I'm fallin'🎵 『じゃあね……』 『おぅ、じゃあな……』 🎵悲しいこの気持ち🎵 後悔なんてしてない 🎵熱い恋に落ちたのに🎵 私は私の気持ちに従って歩いてる 🎵今頃あなたは誰かを愛してる🎵 小説ならここでキメてしまうのだろうけど―― 🎵誰かを口説いてる🎵 期待どおりの私じゃないけど―― 🎵誰かを抱きしめる🎵 今はもっと大きくなりたいんだ 🎵…I'm feelin'blue…🎵 私がちゃんとした私の物語を作れる日が来るまでに 🎵…I'm waitin' for you…🎵 『ユミコ!』 『―――!』 『お前こそ頑張れよ!』   <<<<<<君はいったい誰なの? 『うん!』 私の名前は……        Yの日のドラマ         完        『ルミ、本当に俺でいいのか?』      『はい』      ルミはもう迷わなかった      たとえこの先、どんな困難が      待ち受けていようとも――      つづく   『……ふぅ~……』 今日もひとつの仕事が終わった…… ケータイを閉じ、椅子から立ち上がると 『う~~ん』 両腕を心のおもむくままに突き出しながら伸びをする ちょっとした達成感に浸るこの束の間の時間が好きだ 『さてと~』 最後のBGMをかけてみる? 私からみんなに贈る最後のBGM―― 長い時間、お付き合いいただいて 本当にありがとう でも 夢はいつまでも終わらない きっと叶う日がくる 願い続ける限り
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