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“マズい!遅くなった!!”
アパートへの帰り路をせわしなく小走りする
時刻はすでに8時を回っていた
【今日は早く帰ってきてね(^^)♡】
あのメール
いつものように、たわいない用件だろうと思っていたが――
ひょっとしたら本当に今日は大切な日なのかもしれない
自分だけが気づいていないだけで……
“結婚記念日はもう過ぎたよな”
足のピッチをさらに早めながら考える
“お互いの誕生日もまだ先だよな”
ありとあらゆる【記念日】を頭の中に並べてみるが――
該当がない
“発想を変えてみよう”
改めて推理し直す
“【記念日】じゃないとしたら……何か話があるのか……?”
可能性を導き出そうとすると
“まさか………”
足を踏みしめる度に段々と言いしれぬ不安がよぎる
“バレたか………”
足がとたんに重くなる
『……………』
そうこうしている間にアパートに着いてしまった
“ここは……もう覚悟を決めるっきゃない”
自分に言い聞かせながらアパートに向かう
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