ハラの日のドラマ〜いつでもYを 愛して愛して愛しちゃったのよ〜

Ｙ‐１ 愛の日のドラマ

風呂を終えて――

ダイニングへ

🎵恋するのなら🎵

“早速聴いてるな”

🎵瞳で語れるような🎵

妻はテーブルに着いて、大人しく曲に耳を傾けている

“これで文句さえ言わなきゃ可愛いんだけどな”

🎵I wonder if you can be someone to believe🎵

『…………』

目が合う

🎵ほんの少しは素直になれるかしら🎵

“でも、このままのお前が一番好きなのかもな”

🎵Loving you🎵

『あっ、湯加減どうだったぁ～？』

『最高♪ありがと』

🎵Loving you🎵

『ビール冷えてるよ』

『おっ、サンキュ♪』

🎵おさえきれない言葉にならないような🎵

差し出された冷たい缶ビール

受け取ってテーブルに着く

🎵I wonder if you can live without my love,baby🎵

〈プシュ〉

〈プシュ〉

🎵この気持ちが……🎵

〈ゴクゴクゴク〉

🎵あなたに伝わるなら🎵

『あ～～うめぇなぁ～』

一口を飲んで妻の方に顔を向ける

🎵Loving you🎵

『…………あれ？どうした？』

隣の妻は、まだ口をつけていない

🎵Loving you🎵

『…………？』

『あのね、まだ大事な話があるんだ――』

『ん？』

🎵愛してるとつぶやきたいのに🎵

『タケちゃん……』

『な、何？』

🎵てれくさいなら……🎵

『私の言いたいコト分かる？』

『????』

🎵言葉でどういうの🎵

『コレ』

そう言いながら手元にある【ハラッド】を指差す

『それと―――コレ』

『ん？』

【冷凍チャーハン】が指差される

『俺が………頼まれて買ってきたもの???』

『私が意味もなくタケちゃんに頼むと思う？』

『え？』

『まだ分からないの？』

『???』

🎵この気持ちがあなたに伝わるなら🎵

『コレと――コレ』

『チャーハンと……CD……』

🎵Loving you🎵

『だ･か･らぁ～』

🎵Loving you🎵

【ハラッド】を強く指差す

『………ハラッド？』

『じゃなくて』

もう一度【ハラッド】を指差し

その指を自分のお腹のほうへ差す

🎵Makin'love with you,boy🎵

『ハ………ラ………？』

🎵言葉にださないほうが🎵

そしてその指を【冷凍チャーハン】に

🎵I wonder if you can be off your guard someday🎵

『冷凍食品……？』

『ん～～！』

首を激しく振る

🎵Oh!やっと少しは大人になれるみたい🎵

『…………お腹が空いた？』

『…………も～うバカ』

🎵Loving you🎵

『???』

『チ･ル･ド！！』

🎵Loving you🎵

『チルド………？』

机の上に並ぶ

【ハラッド】と【冷凍チャーハン】

『ハラ………?チルド………』

🎵大好きだとささやいてくれた🎵

そして妻が指で差している

お腹――

🎵夢見てるようで不思議な夜なの🎵

『まさか…………』

微笑みながら

彼女はうなづいた

🎵Loving you……🎵

『ゴホン…………』

　　　　　愛の日のドラマ

　　　　　　　　完