Y-2 雨の日のドラマ

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🎵大切な仲間に捧ぐ風のバラード🎵 『あっ!ケンさん!こんばんは』 🎵楽しい夢も苦悩の日々も🎵 返事をしながらベッドに埋めていた体をゆっくり起こす祐介 🎵声に出来ない世界🎵 『いいよ、いいよ、ゆっくり寝てれば』 🎵幸福と孤独は隣り合わせのストーリー🎵 恐縮しながら病室に入る健一 🎵他人と違う自分を避けて……🎵 『いいっす、結構今、ラクっすから』 🎵君は逃げて来たよね🎵 あの事故の日以来 彼への見舞いが日課になった 🎵よく見れば誰も仲間内に居場所はあるし🎵 事故によって生まれた 不思議な絆というのだろうか―― 🎵気が付けば他人に「イヤ」と言えない自分がイヤだし🎵 健一には、彼をほうっておくことがどうしてもできなかったのだ 🎵人混みの中で自分だけが浮いても気まずいし🎵 『それで、調子はどう?』 ベッドの隣の丸椅子に腰掛けながら尋ねる 🎵愛される事ばかり🎵 『…………ケンさん……』 『ん?』 🎵期待するその前に🎵 『俺、やっぱ……一生歩けないんですかね』 『え………』 🎵忘れてないよね🎵 『リハビリしなくちゃいけないことは分かるんですけど……なんか……』 🎵君が自分であるのを🎵 『…………』 『どうしたらいいのか自分でも分からなくて』 『…………』 『俺………今まで何を目標にしてたんだっけって……不安になるんすよ』 『…………』 『自分の足で歩けるようになるかって事よりも、何か――目標が見えないっていうか』 🎵何気なく惚れたり🎵 『………………』 『何かとても大事な事を忘れてしまってるような気がして……』 🎵さり気なく泣いたり🎵 『…………』 『心の奥のどっかで……なんつ―か……よく分かんないんすけど』 🎵みんな同じ卵のように🎵 『このままじゃダメだって……もう一人の自分が言ってるような気がして』 🎵並ぶ奇妙な世界🎵 『…………』 『…………』 🎵大好きなアナタと🎵 『祐介君――』 『はい?』 🎵綴る愛無きストーリー🎵 『なんか焦ってない?』 『……………』 🎵弱い者に背中を見せながら🎵 『周りを見てるとさ、色々と景色が変わっていく事はよくあることだよ』 『………………』 🎵目をそむけて来たのさ🎵 『俺だって――似たような経験あるよ』 『………?』 🎵弱みなど……🎵 『俺、高校の時にサッカーにかなり入れ込んでてさ……』 🎵故意にさらけ出せる勇気は無いし🎵 『試合に出てとにかく結果を残したかった――』 『……………』 🎵でも何故か🎵 『何のため?って聞かれても――よく分かんないんだよね』 🎵そんな自分に呆きたことも事実🎵 『レギュラーに残ること、試合でゴールを決めること――ただそれしかなかったかな?』 🎵それぞれの良さを生かすために互いがあるんだしHey,Hey🎵 『そうしたら、ある時、練習中に骨折しちゃってね……』 『…………え』 🎵夢の形は何?🎵 『大事な試合前で――悔しかったな…レギュラー落ちだよ』 🎵君は本当は誰?🎵 『俺のいない試合で結果を残すチームメイト……見てるだけで、辛かったし……俺は……自分の運の無さを恨み続けてた』 『……………』 🎵信じられるよね🎵 『でも、そんなチームメイトの姿を見て俺は気付いたんだ』 『――?』 🎵頬に流れる涙を🎵 『あるチームメイトが試合の直前にこう言ったんだ――』 『?』 『「ケンのぶんまで頑張るぞぉ~!」ってさ』 『……………』 🎵合い鍵を失くして🎵 『何気ない一言だったけど……なんか分からないけど泣けてきてさ……嬉しくて』 『ケンさん………』 🎵追い風に吹かれて🎵 『俺がやってたのは、単なる"サッカー"じゃないんだなって……』 『…………』 🎵壊れた街のガラスの上でパレードが待ってる🎵 『色々焦るかもしれないけど』 『……………』 🎵愛される事ばかり🎵 『人生はさ、一度、リセットしてみたっていいって俺はそう思う』 『……………』 🎵期待するその前に……🎵 『そこから見えてくることは、きっといっぱいあるハズだよ』 『…………』 🎵忘れてないよね🎵 『だから前向きにいこうぜ』 🎵君が自分であるのを🎵 『なんで………?』 『え?』 『なんで見ず知らずの俺に、こんなに優しくしてくれるんすか?』 『……………』 不思議そうな顔をする祐介に 健一は微笑んだ 『君を見てると――ほうっておけなくてさ』 『え?』 『――あっ、俺の買ってきたCDちゃんと聴いてくれてるんだな』 机に置かれたCDアルバム【ハラッド】 『結構聴いてますよ♪ケンさん、ありがとうございます』 『あぁ』 『ケンさん、ファンなんすか――?原由子さんの――』 『まぁね』 健一は笑顔でうなづいた
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