Y-2 雨の日のドラマ

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健一は病室を出る 『……………』 “目標がないか……” 彼の力にどうしてもなりたかった 決して表面には出さないが、彼自身、心の奥底で闘っている そんな後押しができるならば――― “………よし、やってみるか………” 静かにある決意を固めた 翌日の午後 いつものように病室のドアが開く 『あれ!?――ケンさん!』 健一が昼間に面会に来ることは珍しかった 驚いている祐介は、車椅子に座りながらTVを見ていた 『今、昨日のワールドカップやってるんすよ』 『そうか……』 『なんかワールドカップ見てると無性にサッカーやりたくなるんすよね……でもムリか……ハハ……』 『――よし!やろう!』 『え!何を??』 『【ワールドカップ】だよ!』 『え!?』 『【ふたりワールドカップ】!』 『はぁ!?ふたりワールドカップぅ~っ!?』 『じゃあ行くか!』 『えぇ~~!?』 病院の駐車場 健一は、車椅子から祐介の身体を持ち上げる そして 横付けしたワンボックスカーの助手席に彼をのせた 『ケンさん……何もここまでやらなくても……』 『まぁ、いいからいいから』 『病院の人に見られたらフツーにヤバいっすよ』 『大丈夫、大丈夫』 車椅子を載せ終わると 〈バタン〉 『さて、行くか』 『ど、どこにぃ!?』 『南アフリカ』 『マジで!?』 〈ブォーーーーン〉 車は発車した  
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