8人が本棚に入れています
本棚に追加
「凄いなあ……キミは。ボクはそんな言葉を投げかけたところで、彼女の心に響かせることはできないと思うよ。でもキミはそれで動くって分かって言った。どうしてそんなことができるのかな」
今までずっと、余裕があるような表情でいたルーシィが、ここでようやく初めて戸惑うような顔を見せた。そんなルーシィにエンゼルは、語気を強めて言い放つ。
「これくらい言って、私がアイリアの心の支えに少しでもなってやらないと、『親友』を譲ろうとしたもう一人の親友から受け取った思いに見合わないでしょ!」
「……背負うものがあるというのは、人を強くすることもあるものだね。ただ辛いだけでは終わらないんだ」
ルーシィは静かに微笑みを浮かべる。すると、アイリアの目から、ルーシィが魔女と聞かされた日のように涙が急に溢れだす。
少しも表情を変えることなく、ただ涙を流すだけ。
「アイリアさん、前もこんな風になってましたよね。あまりいい影響によるものとは思えませんし、今日はゆっくり休みましょう」
「そうね、アイリアは疲れてるのよ。さ、一緒に帰るわよ。皆さんも解散していいですよ」
校長とエンゼルに促されるまますぐ近くの寮まで帰ろうと、歩き始めた頃にはアイリアの涙も止まっていた。
公園に残ったのは、ルーシィとニルヴだけだった。
「あなたは、時々儚げな笑顔で、どこか諦観したようなことを言う。それに反応したかのように、アイリアは涙を流した。僕には……無関係に思えない」
「ひょっとして君……ものすごーく頭がいいのかな?」
ここからの密談の内容は、明かすわけにはいかない。
最初のコメントを投稿しよう!