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Fünf:Countdown
【季節巡って】
それからしばらくは、何の事件も起こらなかった。当たり前のように旅行をしたりして休みを過ごし、入学式の日が来て、歓迎会でアリスを含む新入生がまた様式美的に散々な目に遭った。
なお、今期の主席はアリスであったが、その総合成績そのものは昨年のエンゼルとそう変わらなかったらしい。エリアスやアイリアのような逸材はやはり希少だ。
平和なのもあって、一同鍛錬に励めるのはいいのだが、同時に疑問も浮かんでくる。ルーシィとフォイエルが指導役を共同で務めていたのもあって、その疑問をルーシィに直接ぶつけたのはフォイエルだった。
「ほんとに来るのかよこんなんで……他の魔女ってのは」
「来ると思うんだけどなあ。ボクが来るの早すぎたかな……?」
「早すぎたって、連動とかはしてねーのか?」
「ボク以外はそうなんだけどさ、ボクってその、互換切りみたいなことしちゃっててさ」
つまり、そろそろ頃合いとみて自分で復活したらしい。大胆なことをできるものだ。
そしてフォイエルに様々なことを話す。割とどうでもいいことを話せるくらいの間柄……というより、最近は無駄話ばかりだ。復活したら砂漠の真ん中だったこと、歩きでここに来るまでの道中のこと。
ルーシィにとっては、もしかしたら一番楽しかったかもしれない時期のことだ。
「そんなに充実していられるなら、歩き旅ってのも悪かねーなって思うぜ」
「そう思うよね、やっぱり。けれどもう歩き旅もしてられない。信じられないかもしれないけど、時間はかなり少ないはずなんだ。イーリアスの誕生日こそがデッドラインだ」
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