Fünf:Countdown

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 ルーシィは、週一くらいのスパンで誰かに聞くことにしている。情報集めの習慣がないからだ。情報化社会で生きた経験がないので、仕方ない。 「あー、最近ちょっと物騒なんだよね。2週間前に起きた殺人事件と似たパターンの事件がまた起きたみたいだよ。前よりここに近い場所で起きてるし」 「詳しく」  魔女との関連性が少しでも疑われるのなら、内容を聞く。これまで何度かこうしてきたが、すぐに関連性はないと判断して話をぶった切ってきた。しかし、今回は違った。 「なんだか、人間が食いちぎったような歯型がついてる変死体が発見されたみたいだよ。そりゃあもう不自然だから詳しく調べてみたんだけど、解剖結果によると、なんでも致命傷がその食いちぎられた傷なんだって。人食い魔だよ。しかも抵抗した形跡なし! 一瞬でやられたのかな、怖いねえ……ルーシィ?」 「やっと来たか……ボクがどれだけこの時を待っていたと思っているんだ……くっ……くくく」  急に狂ったように笑うルーシィ。その怪しげな顔に思わず後退りをしてしまうアイリアだったが、勇気を出して尋ねてみる。 「何か、心当たりがあるの?」 「一番知りたかった魔女と、その犯人の人物像、もしかしたら繋がるかもしれない」  どんなものなら、こんな目をするのだろうとアイリアはルーシィを見て思う。そして、ちょうどいい例えがひとつ。  これは、獲物を見つけた大鷲の目。殺意が込もっているが、同時に喜んでいるようにも見える。 「調べてみるか。イーリアスも調べといてくれ。皆にも注目していることを伝えてもいいだろう」  平和というものは、そう思い込んでいる限りあるものなのかもしれない。そして、その思い込みが失われた今、魔女との戦いが始まったのだ。
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