Drei:von Fünf zu Sieben ohne Eins

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「何かと複雑な事情の元に生きておられる。やはり2000年の重みを感じるところ、16年程度しか生きていないような人間にはとても」 「これは2000年なんて関係ないことだよ。時の重みとか、厚みとか、そんなの関係なしに魔女は語るも無残な複雑な過去を持つものさ。これも呪い。ボクはそれを避けた、弱い奴さ」  強さという言葉。それは肉体や、魔法に対して使うものでも、まして能力に対して使うものでもないのだ。  結局は内面だ。魔女の運命は、いかに強い者でも耐えきれないだろう過酷なものになる。しかし、それでも逃げた者はルーシィ、もといアルクメオニスのみ。  否。彼女以外には逃げられない。運命から逃げる手段など、この世界に生きる限りはない。この世界から脱する方法を有していたのは、彼女のみ。  ある意味で、「正しい」やり方をやってみせただけで、ルーシィは決して弱くはなかったはずだ。 「でも、こうして自分のやることをしっかりと決めている。それは立派で、素晴らしいことだと僕は思うのです」 「これも勝手にそういう流れになっているに過ぎないよ。いや、案外ボク自身の意思もあるのかな。実際に、絶対に皆に後悔させたくないって確固たる信念があるし……何より、絶対にやっておきたいことがある」  胡散臭い笑みは一瞬にして消え、誰もいない、何も無い所を見ながら、低い声で呟く。 「絶対にお前だけは罰してやるからな」  ルーシィの身体からは、闇そのものが染み出してくるようなものが見える。それを見てニルヴは一歩下がり、校長も顔をしかめる。
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