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プロローグ:Sieben
「やっと会えたね、イーリアス」
その言葉を聞いたその時に、アイリア・トレーツはその出会いの必然性を確信した。目の前に現れた、黒い服の少女は、ここで出会うべくして出会ったのだ。
そうでなければ、知るはずがない。初対面の人物が、アイリアのもう一つの名前を知っているはずがない。少し不審に思いながら、相手のことに一歩踏み込むことを試みる。
「どうしてあたしのことをそう呼ぶの?あたしにはアイリア・トレーツっていう名前があるんだよ」
「ふうん、するとまた結構似ているね、本名と魔女名が……そもそもその二つを併せ持つ例は他に一つだけではあるんだけど、なんとも気になるね、その類似は」
本名は知らないで、魔女名だけ知っている。学者か何かだろうか?
だとするならば、なぜアイリアを見ただけでイーリアスその人と分かったのか、などの新たな疑問が次々と生じてくる。結局、謎が多くてアイリアの理解には及ばない。
「はっはっはー、そんなに考え込まなくたっていいんだよ。考え込んだところで分からないからね。そうだね、とりあえずキミが本名を名乗ってくれたことだし、ボクも名乗っておくとしようか。ボクの名はルーシィ。ルーシィ・フューグス。一応大魔法使いを自称してるけど、気安く呼び捨てしてもらって構わないよ」
大魔法使い。そんな肩書きを出されても、いまいちパッとはしない。しかし、ルーシィと名乗った少女は、確かにその肩書きに相応しい存在であると、アイリアの直感が告げた。
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