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彼女のお部屋
ぼくは彼女と手を繋いで歩いている。
ぼくは彼女のことを知っている。
でも、彼女はぼくのことを知らない。
その不思議な関係がぼくをドキドキさせていた。
ぼくは彼女に声をかけた。
「コンビニに寄ってもいいかなぁ?」
「う、うん。」
気のせいかもしれないが、彼女は少し怪訝な表情をした。
コンビニに着くと、ぼくは外に彼女を待たせ急いで買い物を済ませた。
彼女のところに戻ると、ぼくはまた可愛く怒られた。
「もう!一緒にお買い物したかったのにっ!」
「あ、ごめん。」
「ところで何を買ったの?飲み物だったらお家にあったよ。」
「えっと、お家に着いたら話すね。」
「うん。約束だよ。」
彼女は愛おしく返事をすると、またぼくと手を繋いで歩きだした。
「ここだよ。」
ついに、彼女のお家に着いてしまった。
ぼくには娘がいない。
もし、いたとしたら、彼女くらいの年頃でもおかしくないだろう。
ぼくはいま、そんな彼女のお家の前にいる。
ぼくは少しだけ葛藤していた。
そんなぼくの気持ちを彼女は見抜いていた。
「ちょっとだけ待っていてください。」
彼女はそう伝えると一人でお家の中に入っていった。
15分くらい待っただろうか、お家の中から彼女の声が聞こえてきた。
「鍵開いてるから入ってきてー。」
ぼくは覚悟を決めてドアを開けた。
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