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「おかえりなさい♪」
ぼくは彼女の一言に驚いた。
いや、驚いたのは一言だけにじゃない。
彼女はメイド服っぽい下着姿で、ぼくを出迎えてくれたのだ。
水色のギンガムチェックがすごく似合っていて、とても可愛かった。
「ただいま…。でいいのかな?」
ぼくは返事をしたあと、少しだけ照れた。
「さあ、どうぞ。あがってください。」
リビングに案内されると、そこは女の子らしい可愛いお部屋だった。
ぼくが見たことのあるお部屋。
彼女が好きなシナモンでいっぱいのお部屋。
良い匂いがするお部屋。
彼女が動くたび、彼女からもいい匂いがしてきた。
ボディソープの香りとは違う女の子特有の甘い匂い。
ぼくはその素敵な空間に見惚れ、ぼーっと立ち尽くしていた。
それを見た彼女は、ぼくにぎゅーと抱きついてきた。
「えへへ。癒すのだったら、メイドさんですよね。ぎゅー♪」
「ぎゅー♪」
ぼくは彼女の背中に手を回して、うなじに顔をくっつけた。
彼女のうなじは優しい温かさだった。
いま、彼女を見たらすごく照れちゃいそうな気がした。
だから、ぼくはこのまま話すことにした。
「えりりん、ありがとう。いま、すごく癒されているよ。」
「え?」
いきなり名前を呼ばれた彼女は、とてもびっくりしていた。
「ぼく、えりりんのこと知っているんだ。」
「え!本当?」
「うん。SNSで見つけて、少し前から一目惚れしていました。声のトーンが好きで、ポニーテールの後ろ姿で惚れ直して…。」
「ポニテ…?あ!あのときのポニテか!」
「うん。だから、えりりんが好きな物も知っているんだ。」
ぼくはそう言うとえりりんから離れ、コンビニの袋を手に取った。
「チルドカップのカフェラテと、苺のお菓子に…。」
ぼくが袋から取り出しながら説明する姿を、えりりんは笑顔で見ていた。
「本当だ。えりりの好きなものばかりだ。あと、ちゃんと"えりりん"て呼んでくれて嬉しい♪」
ぼくも嬉しかった。
ぼくはSNSでえりりんが好きと言っていたアニメのおまけ付きお菓子も買っておいた。
ぼくはえりりんに抱きつかれた。
「ありがとう。本当によく見て、えりりのこと知ってくれているね。」
ぼくはえりりんの笑顔にきゅんとした。
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