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「そうか。俺は三時に菓子パンを買うのと、この時間に夕ご飯を買いに来るからね。それでだろう。何か用か?」
いきなり本を貸して欲しいとは言えないし、どうしよう。
「実は俺、オジサンの家を知ってるんです」
「……」
「家の中に読んでない本ありますか?」
「ああ、あるよ。まさか片付けろって言うんじゃないだろうね」
「いや、俺の家、お金が無くなっちゃって、探してるんですけどね。本を買いたいけれど買えないんです」
オッサンはフッと笑った。
「本が貸して欲しいのか」
「はい、実は」
「いいよ、家に他人をあげるのは数年振りだが高校生なら歓迎だ。俺は子供が好きなんだ。いや、高校生はもう大人だって言うかもしれないが、俺からしたら子供なんだよ」
俺は嬉しくなってガッツポーズをしそうになった。ゴミ屋敷の中は汚いだろうが、オッサンはそこで暮らしているんだし、病気になるほど不衛生なわけではないだろう。それに片付ける手伝いをしてあげられるチャンスだってある。
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