ゴミ屋敷のオッサン

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「吉田さん、これ、中を見た?」 「いや、見てないよ。段ボールが気に入ったんだ。ブランドものの段ボール箱なんてあまり無いだろう。来夢くんもいいと思うかな」 「家が出したゴミかもしれない。中を見てもいい?」 「いいとも、来夢くんの家のゴミだったのか」  俺は段ボール箱を開けて中を見た。札束があった。 「吉田さん、これ、お父さんが間違えて捨てちゃったゴミだ。探しものだったんだ。有難う、お母さんが喜ぶよ」  吉田さんはキョトンとする。 「役にたったのなら良かった」 「これで大学に行けるけど、国語は教えてよ。俺さ、志望校のレベルをあげる」 「ああ、いいよ。数学や英語は教えられないけどな」  吉田さんは笑う。 「国語だけでいいよ。ここで勉強しようかな。友達も近所には居ないし、つまらなかったんだ。そうだ、探しものを見つけてくれた人には一割あげる予定だったんだ。何に使う?」  俺はそう言いながら片付けた。ゴミをゴミ袋に入れていった。海外からの手紙があった。吉田夢佳と書いてある。
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