29人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ
「吉田さん、これ、中を見た?」
「いや、見てないよ。段ボールが気に入ったんだ。ブランドものの段ボール箱なんてあまり無いだろう。来夢くんもいいと思うかな」
「家が出したゴミかもしれない。中を見てもいい?」
「いいとも、来夢くんの家のゴミだったのか」
俺は段ボール箱を開けて中を見た。札束があった。
「吉田さん、これ、お父さんが間違えて捨てちゃったゴミだ。探しものだったんだ。有難う、お母さんが喜ぶよ」
吉田さんはキョトンとする。
「役にたったのなら良かった」
「これで大学に行けるけど、国語は教えてよ。俺さ、志望校のレベルをあげる」
「ああ、いいよ。数学や英語は教えられないけどな」
吉田さんは笑う。
「国語だけでいいよ。ここで勉強しようかな。友達も近所には居ないし、つまらなかったんだ。そうだ、探しものを見つけてくれた人には一割あげる予定だったんだ。何に使う?」
俺はそう言いながら片付けた。ゴミをゴミ袋に入れていった。海外からの手紙があった。吉田夢佳と書いてある。
最初のコメントを投稿しよう!