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「吉田夢佳さんだって。この手紙、読んだ?」
「手紙?気が付かなかった、郵便受けにはたいしたもんが入ってないからね。いちいち確認しない。見せてくれ、ああ、妻からだ。消印が1ケ月前だな。何が書いてあるんだろう」
俺たちは2人で手紙を読んだ。本当は奥さんは吉田さんを愛していること、五月になったら帰ってくること、海外に呼ばなかったのは後悔していることが書いてあった。
「あいつ、帰って来るんだ。よし、掃除しよう、来夢くん、有難う。俺、返事を書くよ。家を綺麗にして妻を待とう。探しものの一割のお金で掃除機とモップを買うんだ」
「うん、さあ、電気屋に行ってから大掃除だ。電気屋はこの前行ったよ。配達もしてくれる。掃除機と洗濯機を買おう。あ、パソコンも」
俺はにっこり笑った。オッサンは頭に付けた民族衣装の被りものを取った。
終わり
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