ゴミ屋敷のオッサン

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 散歩を終わらせ家に帰る。二階の自室に行って本を読んだ。『日本の未来を考える』というコンビニで買った本だ。俺はプラスチックゴミとか排気ガスの問題に興味がある。エコバッグは持ち歩いていて地球を大切にしないといけないと思っている。集中して本を読んでいると一階からお母さんの呼ぶ声が聴こえた。 「来夢(らいむ)、悪いけど一階に来てくれない?」 「なんだよー。何の用?」  俺は本にしおりを挟んで階段を降りる。お母さんはリビングに居て、俺を見ると困ったように笑った。 「電球が切れちゃって取り換えたいの」 「ああ、夜、点けっぱなしにしてるからだよ。誰も居ないときは真っ暗だっていいじゃないか」 「夜に喉が渇いてここでミネラルウオーターを飲むことがあるんだもの。来夢だってそうでしょ」  まあ、それもそうだ。でも電球の灯りの下でミネラルウオーターを飲んでいるわけじゃなくて、きちんと電気を点けている。 「来夢、取り換えてくれない?こういうのは男の仕事なの」 「ああ、いいよ。新しい電球は?」 「残念ながらないよ」  お母さんは外人のように肩をあげて掌を上に向ける。 「まさか、俺が買って来るのか?」 「ええ、お小遣いをあげますよ。電気屋さんに行って買って来てくれる?」 「分かったよ。仕方ねえな」  俺の家から自転車で二十分くらいの場所に電気屋さんがある。駅まで行くんだったら断ったが、何分、今日は学校が休みで暇人だ。お小遣いが貰えるし行ってもいい。
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