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第6話 結成!近幾B代表チーム!
美味しい麺で祝杯ならぬ祝どんぶりをあげたかなた・みあ・まりか・光の4人。再びことのは会館に戻り、今度は他クラスの試合を観戦だ。
「サイエンスとリテラーチャーっていったっけ」
「そう。うちらノーマルと違うて、この2つは理系と文系って感じかな,ちょっとマニアックで面白い戦いをするから見ておいた方がええで。それに」
「うん、一緒に全国を戦う仲間が決まるってことだよね!」
「そういうこと…っと」
ロビーのモニターを見ると、次の対戦カードがすでに出ていた。
どちらのクラスも1回戦は終わっているらしく、これから決勝戦らしい,それを見たかなたの目が輝く。
「サイエンス『奈良 対 滋賀』,リテラーチャー『奈良 対 京都』!うちの代表どっちも残ってるやん!これもしかして、全員奈良で決まってもおかしくないかも!?」
「え?あーそやねえ…」
「だとええけどなあ…」
ただみあやまりかは思うところあるのか、曖昧な返事を返す。
「ゲゲ!」
すると自慢のニセ金ピカ腕時計をのぞいた光が声を上げては、皆をせかした。
「てかサイエンスはもうはじまってますがな!はよ行きましょう!」
ファイトルーム1の扉を開けると、中はすでに熱気の渦となっていた。
幸い北側の最後列が舞妓さん2人を除いてカラだったので、途中入室者達はいそいそとそこへ座りこむ。
部屋の形は、さっきと同じ四方にお客さんを入れているボクシングスタイルで、中央に舞台が設置されているのも一緒だ。しかし投影機の様子が少し違う。
映し出されているのは、何かの数字とその下に大きな天秤。しかも左右に軽く揺れている,なんと動いているではないか!
「ええなあ、こっちは新しい方のMOJIBAKEやんか」
みあがうっとりした様子でつぶやいた。
「モジバケ?」
「そ!しりとりファイトをイベント的に盛り上げたり、出た言葉の意味を観客に向けて解説してくれるのがあの中央のマシンMOJIBAKEや」
「へえ、しりとり専用の機械なんだ!」
「さっきノーマルで使てた機械のバージョンはおそらく一時代前のものかな,静止画もろくに出えへんかったけど、こっちは動画もばっちりやね!で、今天秤に乗っているのは…」
右皿の上で、小さなトムソンガゼルがピョンピョン跳ねたり、マレーバクがのそのそ歩いている。ヤマアラシは寝ていて、さらに背中にブルドッグを乗せたアジアゾウが鼻でリンゴを掴みモシャモシャ,ちょっとした動物園になっている。
さらにそこへ奈良代表選手の声が響いた。
「とどめだ、エミュー!」
すると空から2足歩行の鳥が降ってきては、やはり右の皿へと着地!数字がチンと音を立てて変わり、さらに天秤は大きく傾いた。
「そっか!これ、しりとりで出た生き物の重さが合算されていくんや!」
「あったり!サイエンスはな、しりとりで出したものを数値に換算して競ったり、科学的なアレコレを用いてゲームしたりするクラスなんや!」
一方の左側の皿といえば、かわいい小鳥が4羽よちよちと遊んでいるのみである。
このファイター―滋賀県代表は勝つ気がないのだろうか?
「ははあ、エミューとは。これまた良い趣味をお持ちで」
ところが審判がターン交代の笛を吹くと、相手は四角い眼鏡を指でくいとあげては、ぶつぶつとつぶやいた。
「ふむ…ファイトルールに規定されたトムソンガゼルの体重は平均23kg,マレーバク約250,アジアゾウがオスで5400以下略…合計約5730kg,トンに直すと5.73トン。なるほど数値に誤りはないな。しかし君はどうやら俺のことを甘くみすぎていたようだ」
「なんだと?」
「俺の最終ターンはこいつや!いでよ、ユーバレナ・ジャポニカ!!」
すると。
ゴオオオオ…
「何このすごい音…わあ!」
物々しい音を聞きつけ、左皿の小鳥達が一斉に逃げだした。
そこへ落ちて来たのはなんと……クジラ!
「ユーバレナ・ジャポニカだと?!」
「早い話がセミクジラ,Eubalaena japonicaは学名やな。こいつの体重は軽くても60トン。結果、その差約54トンで俺の勝ちだ」
「くっ…」
滋賀の数字が一気に跳ね上がったのを見て、奈良代表は完全に崩れ落ちた。
一方、勝った眼鏡の選手の傍には、さっきの小鳥達が戻り来ては、その勝利を歌で祝福している。よくやったと手を差し出す彼は、やや難しい言い回しこそするものの、なかなか愛嬌のある兄ちゃんだ。
最後にこの大会の司会を務めていたおじさんが上手いことを言い、勝者を紹介する。
「さすが近江商人の故郷・滋賀県代表の数成翔也選手,天秤棒の扱い方は誰よりもうまかったようですわ」
もっとも天秤はクジラのせいで、すでに木端微塵に粉砕されてしまっていたが。
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