第8話 フクロウ博士ワットワーズ

2/3
前へ
/127ページ
次へ
15分後 「ヌ?ヌ-ヌ~?!」 かなたは見事に"ヌ"攻めにあっていた。 動物のヌーはもう出した。 ぬいぐるみ・ヌンチャク・布・抜け殻…ああダメだ! 審判役であるトビやんがパンと手を打ち笑う。 「残念やったなかなた。記念すべき初戦は、師匠の勝ちや」 「フン!」 ワットワーズは胸を張り、なぜかボディビルポーズをして勝ちを誇っている。 敗北したホモ・サピエンスの少年は、ぺんぺんと机の端を叩いて悔しがったものの、ここは一転重い頭を低く鳥類に向かって下げた。 「参りました!貴方様の強さの秘密をぜひ俺に!」 「うむ、素直でよろしい!教えてしんぜよう!」 するとワットワーズはトビやんに耳打ちし、双方いったん画面から消える。 5分後、いきなり元気な音楽がかかったかと思えば、文字が書かれた手書きのフリップが映し出された。 『ワットワーズのしりとりショッピング』 それから少年が二の句を繋ぐ隙なく、寸劇がはじまる。 「あらあ、困ったわあ~」 右側からおかん風パーマのカツラをかぶったトビやんが登場,あたりをキョロキョロしては落ち着かない様子だ。 さらにそこへ一体どうやって着たか、赤いハッピを着たフクロウが飛んできて声をかける。 「奥様、どうしたんですか?」 「ちょっとアンタ聞いてや!しりとりファイトをしてたら、もう「ヌ」がのうなってしもて!ホンマ困ったわ~」 「……」 俺は何を見せられているんだろう? すっかり目がテンになっている小学生。 しかし相手はどんどん視聴者を置き去りにして、自分達の芝居を続けて行く。 「なるほど、それは大変ですな。ただそんな「ヌ」でお困りのファイターの皆様に朗報です!」 「え!何?何なの!?」 またジャジャーンと音楽がなり、画面に映り込んだのは…。 「沼の写真?」 「そうです!さ、ここで奥様、そしてテレビの前の皆様に問題です!沼にいる生き物といえば何でしょう?」 「え?沼にいる…」 かなたは自然と窓の外に目をやった。 もう暗闇で何も見えないが、そこには今朝降った雨水を含んだ畑の土があったはずだ。 沼ではないものの、そこからドロドロとした湿地のイメージを思い浮かべる。 「あ」 すぐに手があがった。 「カエルです!」 「ピンポーン!ちなみに平たいお魚の名前なんかも知っていますか?」 「ええとカレイかな?じいちゃんがよくお店で煮てるんだ」 「いいですねえ、大正解です!つまり」 画面が今度は写真付きのフリップを映し出す。そこには沢山の生き物が。 「ヌマガエル、ヌマガレイ、ヌマエビ、そっか!」 「はい!沼にいる生き物を想像して、それにただヌマ○○とつけちゃうだけで、もう簡単に1単語完成しちゃうんですねえ!」 「キャー、なんて素敵なの!」 「他にもアカ○○やベニ○○もお買い得ですよ!アカエイ、アカトンボ、ベニイモ、ベニバナ!もうどんどんつけちゃってください!!」 「というわけで、ワットワーズのしりとりショッピングでした!」 「今から30分間、皆様からのお電話、お待ちしておりまーす!」
/127ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加