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15分後
「ヌ?ヌ-ヌ~?!」
かなたは見事に"ヌ"攻めにあっていた。
動物のヌーはもう出した。
ぬいぐるみ・ヌンチャク・布・抜け殻…ああダメだ!
審判役であるトビやんがパンと手を打ち笑う。
「残念やったなかなた。記念すべき初戦は、師匠の勝ちや」
「フン!」
ワットワーズは胸を張り、なぜかボディビルポーズをして勝ちを誇っている。
敗北したホモ・サピエンスの少年は、ぺんぺんと机の端を叩いて悔しがったものの、ここは一転重い頭を低く鳥類に向かって下げた。
「参りました!貴方様の強さの秘密をぜひ俺に!」
「うむ、素直でよろしい!教えてしんぜよう!」
するとワットワーズはトビやんに耳打ちし、双方いったん画面から消える。
5分後、いきなり元気な音楽がかかったかと思えば、文字が書かれた手書きのフリップが映し出された。
『ワットワーズのしりとりショッピング』
それから少年が二の句を繋ぐ隙なく、寸劇がはじまる。
「あらあ、困ったわあ~」
右側からおかん風パーマのカツラをかぶったトビやんが登場,あたりをキョロキョロしては落ち着かない様子だ。
さらにそこへ一体どうやって着たか、赤いハッピを着たフクロウが飛んできて声をかける。
「奥様、どうしたんですか?」
「ちょっとアンタ聞いてや!しりとりファイトをしてたら、もう「ヌ」がのうなってしもて!ホンマ困ったわ~」
「……」
俺は何を見せられているんだろう?
すっかり目がテンになっている小学生。
しかし相手はどんどん視聴者を置き去りにして、自分達の芝居を続けて行く。
「なるほど、それは大変ですな。ただそんな「ヌ」でお困りのファイターの皆様に朗報です!」
「え!何?何なの!?」
またジャジャーンと音楽がなり、画面に映り込んだのは…。
「沼の写真?」
「そうです!さ、ここで奥様、そしてテレビの前の皆様に問題です!沼にいる生き物といえば何でしょう?」
「え?沼にいる…」
かなたは自然と窓の外に目をやった。
もう暗闇で何も見えないが、そこには今朝降った雨水を含んだ畑の土があったはずだ。
沼ではないものの、そこからドロドロとした湿地のイメージを思い浮かべる。
「あ」
すぐに手があがった。
「カエルです!」
「ピンポーン!ちなみに平たいお魚の名前なんかも知っていますか?」
「ええとカレイかな?じいちゃんがよくお店で煮てるんだ」
「いいですねえ、大正解です!つまり」
画面が今度は写真付きのフリップを映し出す。そこには沢山の生き物が。
「ヌマガエル、ヌマガレイ、ヌマエビ、そっか!」
「はい!沼にいる生き物を想像して、それにただヌマ○○とつけちゃうだけで、もう簡単に1単語完成しちゃうんですねえ!」
「キャー、なんて素敵なの!」
「他にもアカ○○やベニ○○もお買い得ですよ!アカエイ、アカトンボ、ベニイモ、ベニバナ!もうどんどんつけちゃってください!!」
「というわけで、ワットワーズのしりとりショッピングでした!」
「今から30分間、皆様からのお電話、お待ちしておりまーす!」
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