君といるだけで幸せだ

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 どんなタイプが好き?と訊かれて好きになった人がタイプと答える者は、偶々出会った異性に好意または好感を持てば、それだけで短慮だけに短絡的にタイプと思ってしまうのではないだろうか。だから当人を恋人とすれば、これからあるかもしれない、もっと好ましい異性との出会いをふいにしてしまうことになるだろう。ということは深く吟味してより好い者を選び取ることにはならない。それなのに、「僕らの出逢いは奇跡的だ!運命的だ!」(確かに持って生まれた運命には違いないが)なぞと大層なものであるかのように嘯き、君といるだけで幸せだと言って退けたりもする者は、話に尾鰭を付けているのと同じことだ。蓋し、そこまで幸せアピールするのは実はパートナーに妥協していることをカムフラージュする為ではないだろうか・・・  そう思う田辺は映画俳優であり映画監督であり理想家であり漁色家でもあるからこれが好いあれが好いと綺麗どころの女優複数と付き合い、肉体関係を持っていたが、試みに、より好い女を選び取ろうとする場合、どうしても一人に絞ることが出来なかった。それはどの女もそれなりに可愛いし美しいのだが、何かが欠けているからであった。  
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