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「俺を攻め落としてどうするんだよ。将を討つ前に馬を、てことか? 俺は馬じゃないよ」
「わかってます。凛さん似の超絶イケメンです。それで、将来的に親類縁者だと思うので、ぜひとも仲良くなりたいだけです。禍根を残したくないというか、より前向きな表現をすれば、祝福されたいので」
つまらなそうな顔をしている昴の前に、もう一枚小皿を置く。ローストビーフ。
「祝福、ね」
「そうです。初めて話した後、少し考えたんですよ。シスコン極めているからって、実の姉にキスマーク残す弟なんか普通いないよなって。そうすると、同じ家で育てられただけで、実際は血の繋がりがない間柄で、本気で凛さんのこと好きだったりするのかな、ライバルかな、と。でも会ってわかったんですけど、似ているんですよね。それではっきり理解できたんですけど、つまり正真正銘のシスコンなんですよね?」
お腹は空いていたのか、目の前に出されたものはするすると優雅ながらもしっかり食べ続けていた昴は、話が途切れたところで口を挟む。
「結論がそれなの」
「それです。強いて言えばですよ、シスコンだけじゃなく義兄コンにもなってくれたらいいなって思います。めっちゃ好かれたいんですよね、昴さんに」
「……なんで?」
呆れた調子で聞き返されて、時任は口をつぐむ。
(顔が凛さんに似ていて好みだから、冷たくされるとこたえると言ったら普通にはっ倒されそうな気がする。年上だし、年下からからかわれるの嫌そう)
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