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小声で言ってから、凛は手を伸ばして時任を思い切って抱き寄せた。鼻と鼻がぶつかり、少し湿り気を帯びた髪が頬をかすめていく。その髪を指でかきわけて、耳をつまんで小声で告げた。
「初めてです」
少し間をおいてから「了解しました」と返事があった。
* * *
何度かの優しいキスの後に、唇をこじ開けるように舌が侵入してきた。そのまま、舌に絡みついたり、頬の内側を緩やかに刺激されながら唾液をすすられて、それだけで頭が真っ白になってしまう。
呻き声は唇に奪われていたが、大きな掌でささやかな胸を包み込まれ、形が変わるほどにらゆるく揉みしだかれたときには、緊張で足がぴんと突っ走ってしまった。
身体が密着していたせいで気付いたであろう時任は、少しだけ唇を離して「心配しないでください」と囁いてきた。その声は甘く優しいくせに、気づいたら両手で両胸をゆるゆると揉まれていて、堪えきれない吐息が漏れてしまった。
「あの、それ……」
「嫌ですか?」
聞いてくる割には手の動きは止まるどころか、胸の頂に触れては指で挟んで弄んでいる。片胸ずつ、突起に軽く爪を立てられた瞬間、肌が粟立つほどに震えて、腰がひくりと小さく跳ねた。
「可愛いです……。気持ち良さそう」
機嫌の良さそうな声で言われて、手で顔を隠そうとしたが、すぐに捕らえられて両手首まとめて頭上で押さえられる。
見つめると、時任にはおっとりと優しく微笑まれた。
「少し強くしますので、痛かったら声を上げてくださいね」
言うなり、胸を捏ねるように揉んでいた右手にギュッと力を加えられた。
「いっ……」
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