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灯りをつけて一緒に入ったらお互いに見えてしまうし、あちこちぶつかってしまうし。
とりあえず、何か対策を取らねばと心に誓った。
*
金曜日。
時間差で会社を出て、時任の最寄り駅で待ち合わせ。タイ料理のお店で夕食をすませて軽く飲んでから連れだってマンションに帰った。
そして問題の。
先に体を洗ってお風呂に入ってから呼びますね、と言い含めて浴室に向い、湯船の中にはこの日の為に選んだ1番色が濃い入浴剤を投入した。ほんのりピンクがかった乳白色で、入ってしまえば一切透けて見えない。
さらに、LEDの防水機能付きキャンドルを浮かべて、時任が入ってくる時に「これで十分なので灯りは消してください!」と言った。
「見えないです、色々と」
「問題ありません」
「そうですか……」
残念そうにされた気配は感じたが譲る気はなかった。
やがて、髪も体も洗い終えた時任が湯船に入り込んでくる。
精一杯隅に寄っていたつもりだが、所詮狭い湯船であって、抵抗する間もなく抱え上げられて背後から抱きしめられてしまった。
(う、うわ〜……)
吐息が耳を掠めたと思ったら、そのまま軽く耳朶を噛まれて「んっ」と声が出た。
「一週間長かったです。早くこうしたかった……」
囁きは耳のすぐそばで、直接流し込まれる。
凛としても何か答えねばとは思うのだが、ぐっとお尻の辺りに固いものを押し付けられて息を呑んだ。
「触っても良いですか?」
もう身体のあちこち触れているし、グイグイ押し付けられているようなのを感じつつ、凛は「どうぞ」とだけ答えた。
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