【本編2-3】弟の嫉妬(2)

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「俺だって、普段はこんなこと言わないよ。身内だから言っているんだ。凛は俺の良いところだけじゃなくて、悪いところもわかっているよね。彼氏のこともそう言う風に冷静に見てる? 俺や親に紹介できる? 将来的に結婚を考えられる相手? 遊びじゃなくて、きちんとした付き合いなの?」  矢継ぎ早に言われて、凛は掌で額をおさえた。 (うそ……ぐらぐらする)  酔っている場合じゃないのに。 「彼のことは、もちろん紹介できるよ。すごく良いひと。昴も会ったらわかると思う。なんて言うんだろう……。そつがないというか、何かにつけて丁寧で優しいかな。家も片付いていて、家事能力も高いし、経済観念もしっかりしてるみたい」 「へえ。家に行ったんだ。泊まり?」  冷たい声で確認されて、凛は思わず昴の腕に掌をのせ、ぎゅっと掴んで握りしめた。 「自分は高校生くらいから好きにしていたと思うんだけど。私に対してのその厳しさは何? 大人です」 「知ってる。同じ年齢だ。だけど凛と俺は違う。恋愛はね、よほどうまくやらないと女性が傷つくようにできているんだ。俺は可能な限り割り切って、後腐れのない恋愛をしてきたつもりだけど、避妊は特に気を付けてきた」 「昴。言っていることが最低すぎてびっくりするんだけど。それってつまり……、結婚する気のない恋愛を繰り返してきたって意味じゃないの?」  たとえ相手を傷つけないように配慮していたとはいえ。「後腐れない」「避妊は気を付けてきた」というのはつまり、深く関わる気のない関係と言っているように聞こえる。  遊びなのだと。  凛は溜息をついて、言った。
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