【本編2-3】弟の嫉妬(2)

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「私の彼氏を警戒するのは、自分のことがあるからじゃないの? 心配しなくても、彼はそういうひとじゃない。私とのことは遊びじゃないと思う。昴とは違うよ」  最後。 (余計なことを言った)  止められなかった。酔っていたせいか、感情が(たかぶ)っていたせいかわからなかったが、傷つけることを言った。  昴はおそらく、注意喚起の為に敢えて悪者になっている。自分で言うほどナルシストであったり、人間関係がいい加減な性格破綻者とは、凛も思っていない。  普段互いの恋愛など話さないから知らないだけで、本気の恋も辛い恋も経験してきているのかもしれない。何も知らない以上、決めつけて批判するようなことを言うべきではいのに。 「そうなんだ。良い相手が見つかって良かったね。今日会ったとき、凛ちょっと変わったような気がしていたんだけど、そのせいもあるのかな」  昴はといえば、先の凛の一言を流したかのように何気なく話を続けてきた。 (謝りたい)  謝らないと。  そう思うのに、口が重い。なんとか喋ろうとしたが、呂律が回らずに口をつぐんでしまった。  はあ、と溜息をついて息を整えてようやく言う。 「ごめんすばる……酔った」 「そういう風に見える。大丈夫だよ、俺は悪い男だけど、弟だから。姉さんに変なことはしない。食事は大丈夫?」 「うん。ゆっくり食べれば……お水もらえるかな」 「わかった、いま頼む。もともとケーキは包んでもらうつもりだったし、辛いときは言ってね。無理しても仕方ないから」  (体調、そこまで悪い気はしていなかったけど。風邪のひきはじめかな……)
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