【本編2-6】疑惑のキスマークと、彼氏の嫉妬

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 前の晩、いつの間にか寝てしまった凛が朝方起きると、「お泊り慣れているから適当にやってる。シャワー借りた」と寛いだ昴に言われて、さらに「俺は休み取っているから急ぎじゃない。朝ご飯外で食べようか」と言われるがままに支度をして家を出てきてしまった。  鏡をしっかり見なかったのは迂闊だったが、さすがにキスマークは身に覚えがない。 (昴は何も言ってなかったし、あの細やかさで気付かないってこともないだろうから……。そんなに目立たないんだよね?)  上条に関しては、昨日の今日だから目ざとく気付いて、状況も状況だけに勘違いしただけに違いない。  そう思いつつも、念のため確認しようと化粧室に向かった。  それとなく、周囲の目を気にしつつ手で首をおさえて駆け込む。 (誰もいなくて良かった)  鏡の前に立って、隠すようにあてていた手を外してみた。 「……ええ……、これは……」  ブラウスの襟では隠れない位置に、かなりはっきりと赤い鬱血がある。触ってみると、痒いわけではなくむしろヒリヒリするくらいなので、虫刺されでもなさそうだ。 (ぶつけたのかな……? 全然記憶にないけど。あれ、でも待って。昨日寝るときになんか痛いなって思ったような……あの時かな?)  酔っていたせいで、うまく思い出せない。  ただ、これはキスマークと誤認されても仕方ないと、自分でも思った。さらに言えば、目立つ。昴は視力が落ちているのか、さもなければよほどこちらを見ていなかったか。  言ってくれればよかったのに、と思ってももう遅い。 (絆創膏で隠す? 余計目立つか。ファンデーションでごまかせる? 経験がないからわからない)  いっそ「キスマーク 消し方」と検索しようかと思って、バッグの中からスマホを取り出す。
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