【本編2-8】彼氏来襲

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 これから彼氏が来る、と。  しかもたぶん、ちょっと怒った状態で。 (どうしよう……。午後には、っていうことは早退してくるってこと? かなり……怒ってる?)  少しどころじゃないかな? と思い始めると、途端に落ち着かなくなる。  スマホを触ってみるも、連絡があったらどうしようと思うと怖くなって手放してしまう。どう足掻いても来るものは来るのに。  パッチワーク柄のクッションを抱え込んで、ベッドの上で倒れこむ。  それから、今一度思い直してスマホを手にする。家の住所を伝えておかねば、と。  そのときに、チャイムが鳴った。  スマホで時間を確認すると13:30、思った以上に時間が経っていたが、時任が来るにはいくらなんでも早過ぎる。  宅配も何も予定はなかったはずと、出るか出るまいか悩んだところで、スマホが着信した。 「はい……?」 「凛さん、着きました。いまチャイム鳴らしているの俺です。家にいますか?」  あ、そうなんだ……とは思ったものの。  ぞくっと背筋に悪寒が走った。  どう考えても、いつものスマートな時任とは違う。  普段の彼ならば、電車に乗ったタイミングや、最寄り駅に着いたところで連絡をくれそうなものなのに。  余裕がないのか、わざとなのか。 「住所教えてないんですけど……」 「調べました。総務なので、その辺の権限はあります」  え、いましれっと言った? と耳を疑いつつ、凛はおそるおそる尋ねてみた。 「……職権乱用では?」 「事前に本人の許可を得ていたので問題無しということで。凛さんこそ何か手がふさがってましたか?」 「いえ、ぼんやりしていました」
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