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【本編2-10 彼氏のS心】
目を瞑り、羞恥心を押さえ込みながら凛は切々と言った。
「時任さんちょっとというかかなり変態で、深入りすると開発……、調教? されそうで怖いんですけど、不安にさせてしまったのは申し訳なく」
反応が怖くて、ほんのりとシトラスが香る体をかき抱いて、胸に顔を埋めて囁いた。本当に、好きにしてくれていいです、と。
普段の時任は、凛々しい眉、涼しげな目元にすっと通った鼻梁で、キリッと男らしく端正な顔にはいつも爽やかな笑みを浮かべている。声は優しく、身なりには清潔感が溢れ、御曹司というバックグラウンドを抜きにしても女性社員の羨望の的となるのも頷ける好青年だというのに。
「凛さん……っ。怖がってるくせに、申し訳ないからって体を差し出してくるなんて、ドM過ぎますね……。俺好みな調教されたいんですか? 俺、いつも頭の中で凛さんにものすごいことしてますよ……?」
(ん~~、そこはもうちょっと隠して欲しかったな……)
抱き締める力が抜けたが、逆に時任から強く抱き締められる。
「凛さん……っ!」
ベッドまでたどり着くこともできないまま、薄いラグマットの上に押し倒された。
「この可愛い顔をめちゃくちゃにしたいです。すごく乱暴にして……。凛さん、口で……」
言いかけて、時任は唇を噛み締める。
口淫。
(したこと、ない、けど……)
全く知らないわけではない。知識として、うっすら知ってはいる。本当に気持ち良いのかはわからないけれど。
「口で……咥えればいいの?」
頭の横に両手をついて見下ろしてきている時任を見上げて、凛は慎重に尋ねた。
(自分からは、やっぱり抵抗がある……)
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