【本編3-1】弟からのお誘い

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【本編3-1】弟からのお誘い

 それじゃあ、またね。 「なんだ……?」  俺はいまいったい何を言われたんだ、という思いをこめて時任は呟いた。  少しの間呆然としていたが、徐々に事態が飲み込めてくる。 (お……思った以上にヤバい……!?)  双子の姉を盗聴し、キスマークをつける弟。その挙句、彼氏にプレッシャーを加えてくる。  どうして今になって突然、と思ったがふと気づいてしまった。 (今までうちで会うのが主で、凛さんの家に来たことがなかったから、盗聴していたとしても気付くのが遅れたのか……)  盗聴が決定事項になっているのが恐ろしいことこの上ないのだが。  もしかして昨日二人が会ったのは、凛が時任の家に泊まりこむことも多くなり、「帰ってこない日」が出てきたのを不審に思って弟から探りを入れられたのか? と。  ぞくぞくぞくっと走った悪寒に、時任は思わずスマホを取り落とそうになった。  その瞬間、手の中で再びスマホが鳴り始める。  凛のものなので凛に返すべきだと思いつつ画面をみると、佐伯昴の文字。  これは間違いなく自分宛。腹をくくって通話にする。 「はい。まだ何か言い足りないことが?」  ――盗聴はしてないよ。時任さんがわかりやすいだけ。  怖ぇ。 (俺いま、声に出してないぞ!? どこかから見てる? 見ていてもわからないだろ、頭の中の出来事だ)   盗聴されていた方がマシだと思うくらいの的中率。むしろ盗聴器を潰そうとしているのを察して先回りされているのかもしれないと思いたいのだが。  頭の中を盗聴されている場合はどうすれば(混乱)。
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