僕がネカフェで、彼女な理由(わけ)

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__コンコン。 「開けてもよろしいでしょうか?」 「はい、大丈夫です」 ドアを叩き、店員さんが注文したポテトと唐揚げを持って来た。 (くそー。彼女じゃなかったぜ)  この人も、ここのネットカフェでよく見かける店員さんだ。  接客も丁寧だし、容姿なんかアイドルかなと思うほど可愛い。  顔の好みもだけど、断トツで彼女を支持する男が多いと思う。  それにちゃんとケチャップだけだ。 「いつも、ありがとうございます」 「こちらこそ、いつもご丁寧にありがとうございます」  ポテトと唐揚げを受け取り、軽いやり取りとした。  彼女は本当に印象がいい。そして、一つ一つの行動を自然に卒なくこなす。  そして、僕も彼女が相手だと緊張せずに対応できる。   (もう一品ぐらい頼んであげようかな?)  節約している僕がそんなことを思う程、神印象の彼女だ。 (でも、彼女の給料に影響するわけじゃないんだよなぁ)  一方で、僕が好きな彼女は、態度が悪いという程でもないけど、  注文を頼んで持って来てもらう時、大体半分ぐらいは不愛想な印象を受け  る。たまにだけど、明らかに機嫌の悪い時もあるし。  …………単純に、僕が嫌われてるだけだったら切ないけど。    でも、もし仮にそうだったとしても、僕は彼女がいいのだ。  別に、僕にMっ気があるとかって話じゃない。  …………そういう経験が無いから、わからんけどね。 (きっと、この人が目当てで来店する人も多いんだろうな。  可愛くて、仕事が出来てリピーターを作れる。最強かっ!  そういうのって、ちゃんと給料に反映すべきだと思うよ)  でも、僕が好きなのはこの子じゃない。  彼女が大好きだからね、他の子に目移りなんてしないのさ。  な~んて、心の中でなら何の気兼ねもなく言えるのに。  (アナタが好きですって言えたらなぁ)  まぁ、言えたとしても結果は見えてますけど。
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