7人が本棚に入れています
本棚に追加
「いらっしゃいませ。あ、前野さんところの梅ちゃんじゃない~。こんばんは、おつかいかしら?」
「こんばんは。そうなんです、ママが食パン買い忘れたので買いにきました」
もみじやに行くと、閉店間際のためか、売れ残っている商品が少ないためか先客が一人だけだった。なので顔なじみであるもみじやの奥さんが私に挨拶をしてくれる。
「食パンね!あと1斤だけ確かあったわ。今、用意するわね」
おばさんはそう言うとパタパタと店の奥に戻る。
「あ…おばさん、お会計お願いします…っていないじゃん」
…その声で気がついた。
「あれ、前野じゃん」
その声の主がこちらを振り向いた。私服だったから、背中を一瞬見ただけでは分からなかった。だっていつも制服姿か学校指定のジャージ姿しか見たことがなかったから。
「…こんばんは、岬君」
挨拶を返す。岬君は背がひょろっと高いので私は岬君の顔を見上げる形になる。岬君は軽く頷いた。
最初のコメントを投稿しよう!