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  「……あなたの言ったとおりになったな」  小高い丘の上で、ウェンディは呟いた。振り向いた先には、緑のドレスに身を包んだアメリアがいる。 「妖精王なら、そういう魔法も知ってるだろうと思ったのよ」  アメリアは妖精界に渡り、実の父である妖精王に会った。そして、魔法を習った。世話人が来る間を縫って、毎日少しずつ。それで、アメリアそっくりの人形を作ったのだ。  人形は話せなかったが、別に問題も起こらなかった。つつがなく処刑は終わり、アメリア人形は葬られた。  今、アメリアの耳は尖っており、半透明の羽根が背中に生えていた。  本性を思い出したことによって、アメリアは本来の姿に戻った。今では、人間の姿になるには人間に「変身」しないといけないぐらいだ。  このまま、アメリアは妖精の世界に行く……いや戻るつもりだ。 「あなたは、母のところに行くのね」  アメリアの義母であり、ウェンディの実母である女性は、まだ存命だ。ひっそりと、北の方の町で暮らしていると聞いていた。 「そうだな」 「取り替え子の話を信じなかったら、どうするの?」 「そのときは仕方ない。母に会えるだけでも、満足するさ」  ウェンディは、怖いものなどないように、しっかりとした足で歩いていった。  彼女の行く末が気になるのは、チェンジリングの縁があるからか。  度々彼女の様子を見にいこうと決意し、アメリアは大地を蹴った。  塔から見ていたときは飛べるとは思いもしなかった空は、ウェンディの目を思わせるような、まばゆい青だった。  (了)
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