きっかけ

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 だが、一息ついて安心した途端、私は突如とてつもない不安に襲われた。戻るのがなんだかとても恥ずかしくなったのだ。トイレで行ったり来たりしてなかなか戻れずにいると、やがて5分程時間が経ってしまった。  今度は何だかサボりだと思われて先生に叱られるのではないかと思い、怖くなって来た。だから、早歩きで教室へと戻った。  ドアを開けると一斉にこちらを皆見て来た。私は視線を反らして、下を向いて自分の席に戻った。その後、授業は何事もなく進んだ。だが、授業が終わり皆が立ち上がって動き出したとき、何かいつもとは違う違和感を感じた。  いつも大きな声で話し合っていた男子グループが、やけに小さな声でひそひそ話し合っていた。さらに、こころなしかこちらを見ているようだった。  まだ、入学したばかりで、その男子のグループともう一つの女子のグループ以外の子は、誰かと仲良くなったりしておらず、皆静かに席に座っていた。私もまだ仲の良い子は出来ていなかったので、一人静かに席に座っていた。
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