始まり

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始まり

 そして、次の日学校へ行く事が出来なかった。私は行かなければと思い玄関に向かったのだが、とてつもない腹痛と異常な程の汗に見舞われた。それに耐えられず、私は激しい自己嫌悪感に陥りながら自分の部屋へと戻ってしまった。  次の日もその次の日も、私は家を出る事が出来なかった。最初は、両親に何度も学校に行くよう怒鳴られた。だが、やがて、私が玄関から家を出ようとしている時のただならない表情を見て、そう言うのを辞めたらしい。  私は、来る日も来る日も玄関に座りこんでいた。覚悟を決め、何度も立ち上がるのだが、その度に足が自分のものではないように重くなってろくに動いてくれなくなった。心臓の鼓動が速まる音が聞こえて来て、目の前で何か燃えているかのように体が火照っていく。気づいたらまた座りこんでしまっていた。  なんとも悔しい事に、こうやって座り込むと心臓の鼓動はゆっくりとなり、体が肌寒く感じるくらいに冷えていくのだ。呼吸も安定して苦しさから開放される。  私はこの誘惑に勝つことが出来なかった。やがて玄関に向かうのもやめ、ただ1人1日中、自分の部屋に座り込んでいた。少しして、父と母に話し合う事を求められ、私はそうした。
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