始まり

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 そして、始まったばかりで特に何も起こらないクラスの中で、ちょうど私のあの行為が標的にしやすかったのだと。あの行為とは授業中にトイレに行った事だ。最初は、そんな事でと納得する事ができなかったが、やがてこのように考えた事で理解した。  小学校とはそう言う所なのだと。まだ、未熟な子供が集まれば、成長すれば普通だと思えることが、異常な事に見えてしまい、一度周りがそう考えたら、もう誰も何も考えずにただそれが正しいと思ってしまうのだ。特に低学年ともなれば、その考え方や行動は顕著だろう。  まあ、とにかくこうして私は、不登校プラス引き籠もりとなった。最初の2年間は、学校の提出物と親が買って来た問題集をこなして、後の時間は寝るか、テレビを見て過ごしていた。その2年間は私にとって本当に長く感じるものだった。  だが、小学3年になっていた時の事だった。親が自分達が見るために、映画や海外ドラマをテレビで見る事が出来る、サブスクに加入した。まあ、本来なら親が優先で私がそれを見る事など出来ないのだが、親は共働きで朝から夜まで帰っては来ないので、その時間は見る事が出来た。  私はそのサブスクにあったアニメ作品を見まくった。ジャンルなど気にせず、アニメであるなら何でも見た。そこには、私の知らない世界があって、私が知らない家族以外の他人がいた。アニメキャラを人とみなす事はおかしなことなのだろうが、全く他人と関わる事のなかった私にとって、それは私が知らなかった他人だった。
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