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登校を待つ間、自分がどんな人間なのかという探しものを見つけたい気持ちは、日々強くなった。やがて、その気持ちは止められなくなっていった。自分が学校で周りに溶け込めないかもしれないという不安も起きていたが、その気持ちの前にははるかに小さなものであった。
そして、登校する4月1日がやってきた。私の朝起きたときの気持ちは、ドキドキと表現するのが一番近い、そんな気持ちだった。そのドキドキは、今まで行くことができかった場所に本当に行けるのかという大きな不安と、自分だけ出来なくて、ずっと悔しかったあの日々がようやく終わるというワクワクが混ざりあったものだった。
でも、それ以上に一番心の中で大きかったものは、自分という人間をようやく見つけられる気がして起きていた、心が弾むときめきだった。私は朝起きてから何を食べたか、何のテレビを見ていたか、両親と何を話したか全く覚えていない。
だが、今まで開ける事のできなかった、その日何だかとても重たく感じたドアを開いて、眩しくてただ白い光しか見えなかった場所に、足を進めたあの興奮はいつまでも忘れはしない。私にとって探しものとは物ではなく、ただ逃げていた自分を前に進めてくれた、自分を知りたいという永遠の欲求である。
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