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「いよいよだぞ、スディア……もちろん心の準備はできているよな?」
「だ、大丈夫です……わたくしは自分の力を信じていますから」
真っ黒な霧に覆われた村の前。
パリパリと体全体に電気を纏った青年に尋ねられ、年老いた魔女は声を震わせながらも気丈な態度で答える。
そうこなくちゃね、と青年はニヤリと不敵に笑ってみせると一瞬にして真っ白なライオン姿に変化(へんげ)した。
「ガルグ……あなたの方こそ、怪我をしてもわたくしの癒しの術で治せるとはいえ、あまり無理はしないで下さいね?」
「……お前は誰に言っているの、スディア?僕より自分のことを心配しろよ!」
「心配には及びません……自分の身ぐらい自分で守りますから。行きましょう……お父様を村の皆様を助けに」
皺だらけの顔にキッと決意を漲らせ、スディアはガルグというらしいライオンに跨る。
ガルグはウガアアッと高く咆哮を上げると、彼女を背中に乗せたまま村の中へと駆けるのだった……。
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