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夕日が映える河川敷を早川、江波、坂田、真島の4人は自転車で走る。高校2年の夏の終わりだった。4人は自転車を停め、キラキラと輝く川と果てしなく広い空を見て背伸びをした。
「来年は俺ら受験だぜ」
と真島が言うと、江波が坂田の髪をわしゃわしゃと掻き乱しながら
「こうやって遊べるのも今のうちか」
と笑い合っている。
すると、早川が遠くの空を見ながら静かに言った。
「なあ、江波。お前、高宮愛のことが好きって言ってたよな。実は俺も好きなんだ」
「え?」という表情で江波が早川を見る。
少しの間の沈黙を破ったのは坂田だった。
「2人とも高宮さんのことが好きなの!?じゃあライバルじゃん!告白しちゃいなよ~!」
「ちょっと待てよ!いきなり告白だなんて……」
と江波は焦る。
「じゃあさ、コイントスで決めようぜ。この10円玉の表側が出たら早川が告白する。裏側だったら江波が告白する。どう?いい考えじゃね?」
と真島が10円玉を指に乗せている。
「まじ?」
と早川、
「ちょっと待てって」
と江波が言っているうちに、10円玉は高く空へと弾かれた。
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