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僕は、それからのことは全く憶えていない。
少し気がつくと、僕は、布団の中で寝ていた。
「 先生様、先生様、こっちに来て下され 」
先生って、誰だろう。僕の右腕には弾が打ち込まれているらしかった。
感覚は、全くなかった。
「 原田君! 気がついたかい? 」
木村さんの声が聞こえた。
「 まず弾を取らなくては 」
先生様とは、お医者さんだろうか?
僕の右腕から、弾が取り出され、何か処置をして下さっている。
「 ペニシリンを持って来て良かった。時間おきに、ペニシリンを打ちますから、私はここで眠らせて下さい 」
僕は、生きているんだ! 僕は、、、、
「 先生様、もちろんだす 」
「 原田君! 木村です。東京の目黒の方から、お医者様が来て下さっているんだよ 」
「 え? 」
僕が目を少し開けると、木村さんと、木村さんのお父さんらしき人と、眼鏡をかけた
眩しいほど輝く人がいた。
「 お医者様ですか? 」
「 そうです。西条と申します 」
「 僕は、どうしてここにいるんだろう? 」
「 レイテ島から、帰って来れたんだよ! 」
木村さんが、泣きながら言った。
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