味醂干し

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聖ヨゼフ教会に、Mayと、手を繋いで行った。 教会の中で、ふたり静かに、祈った。 それから、神父様と、ブラザーお二人に、丁寧に 挨拶をした。 【 あのう。皆様で、お寿司を食べなさい。と、父が言ったのですが。】 【 お父様には、お世話になりっぱなしです。 有り難いことです。 私は、外人ですが、お寿司は、大好きです。もう 何十年と、お寿司など食べたことは、ありません。】 【 神父様も、ブラザーのお二人も、ご遠慮なく 召し上がって下さいますか? 私は、我慢される のは、嫌なんです。】 【 我慢などしません。遠慮なく頂きます。】 神父様は、そう仰ったので、安心した。 私は、斜め向かいの、お寿司屋さんに行った。 【 こんにちは。お寿司の上を、五十人分位、握って頂きたいのですが。 私、小学生の頃、N市に二年間いました。その時に こちらの、お寿司を頂きました。とっても美味しかったことを、覚えているんです。】 お寿司屋の、ご主人は、初老の方。でも、肌は艶々 していたの。 【 五十人分と言うと、聖ヨゼフ学園さんですね。】 【 はい。私の知り合いの、中学生がいるんです。 私は、昨日、東京から来たんです。】 【 分かりました。】 【 大トロと、いくら、雲丹を、多めに、握って下さい。】 私は、父から預かった、お金を渡した。
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