君がいてくれたから――

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 いつもは時間がゆっくりに感じるけど、今日は時間が光のように早い感じがする。  そして今はあたしは竜也と屋上でご飯を食べようとしている。 「なんか、本来の姿で来ると朝の時間に余裕が出ないか?」 「ほんと、今まで結構、メイクとかに時間かけてたから朝の時間に余裕が出すぎてびっくりしたわ」 「ちなみに、どのぐらい時間をかけてたの?」 「えーっと、一時間かかるとかかからないとか」 「それってマジ? そこまで時間かけられるのすごいな」  あたしと竜也の会話が弾む中、ハハッと竜也が笑った。 「なーなー、俺らさ美男美女カップルって言われてるみたいだぞ」  ……えっ? か、カップル⁉  みんなそんなこと噂してるんだ。 「俺らってさ、本物の美男美女カップルになれるかな?」  そんなことを言う竜也の頬は、熱でもあるんじゃないかっていうぐらい耳まで赤く染まっていた。  竜也の言いたいことはわかる。  でも、こういうのってどうやって答えればいいの?  ……ダメだ、全然わからない。  答えは早いほうがいいよね、あたしも気持ちは同じだし。  愛華が怖くて竜也といるときの嬉しい気持ちに名前はつけられなかった。  でも、今ならその答えはきっと出せる。  この気持ちは〈恋〉だということを――。  あたしが悶々と考えている間、ずっと竜也は右手で自分の口元を隠している。  あたしは竜也の左手をぎゅっと握った。 「……っ⁉」  竜也がビクッと体を震わせる。  竜也の反応、可愛すぎる……!  でも、この告白の返事はしないとね。 「……なれるよ、きっと。てか、なろう!」 「あ、あぁ」  あたしはアルビノが自分にとって最大のコンプレックスだった。  でも、アルビノのおかげで赤羽もえか十六歳、青春の予感です――。
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