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事の発端
休み時間のクラスはワイワイガヤガヤと少し騒がしいぐらいに盛り上がっている。
「ねぇ、昨日のドラマ見た? あれ結構、面白かったよ!」
「そうだよね、もう最後のシーンなんでドタバタな展開でさ~」
「ほんと次回が楽しみ!」
「「「だね~」」」
三人はそろって声を出すと、同時に笑った。
その中心にいるのはあたし、赤羽もえか。
友達もいて何不自由のない生活を送っている高校一年生。
高校に入った最初は、なじめるかどうか不安だったけど美樹と乃愛という友達を作ることができた。
そんなあたしは〈アルビノ〉という病気を患っている。
〈アルビノ〉っていうのは簡単に言うと、生まれつき肌や髪の色素がないという二万人に一人の割合でなる病気だ。
アルビノは肌や視力が弱く、ほかのアルビノ患者の人は屋外で体育をやるときは原則禁止しているらしい。
でも、あたしはそのアルビノ患者の中でも肌や視力は強いらしく激しい運動をしなければ屋外の体育の授業も問題なく参加できた。
少し危ないときはあるけど……。
そしてアルビノ患者の最大の特徴はメラニン色素という人の肌や髪の色を作る色素が非常に少ないからあたしの本来の髪は白色で肌は白く、目はめったにない淡い紫色の目をしている。
でも今のあたしは黒髪で目も茶色だ。
この学校はもともと校則がゆるゆるなため、いつもは白い髪を黒色に染めて白いまつ毛と眉毛はマスカラ眉毛用のティント、紫色の目が見えないように茶色のカラコンをしているのだ。
だからあたしがアルビノだった言うのはこの学校では先生しか知らないのだ。
でも、これでいいと思った。
最初から本来の姿で登校したらそれはそれで大変なことになりそうだから。
あたしは自分の正体を隠すことにしたんだ――。
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