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「悠理、一緒に風呂に入るぞ」
「嫌だよ。入らない」
「たまには親子らしいことでもしないと由布子が気にするだろ。ほら、来いよ」
母親を盾にされて仕方なく浴室へ行く。義父はあっという間に服を脱いでシャワーの水栓をひねった。
俺はなんとなく体を隠して身を縮め、洗面器で湯をすくった。
「なにやってんだ、一緒にシャワーを浴びればいいだろ」
義父が俺の二の腕を掴んでぐい、と引き寄せ、はずみでその胸板にぶつかる。そのまま頭から熱いシャワーを浴びせられ、目に入ってきた湯が痛くて瞼を閉じると……。
「!」
「へぇ、もう剥けてんのか。いっちょ前だな」
義父が俺のものを掴んでいた。
「離せ!」
抵抗しても、俺は十三歳で義父は三十歳過ぎ。体格差もあって、体の自由はすぐに奪われた。
「悠理、綺麗にしてやるからな。じっとしてろよ」
素手に取ったボディソープを俺の体にすり付け、全身を撫で回し始める。
「なに……が、綺麗にしてやる、だよ。触んな変」
変態、と叫ぼうとしたところで口を塞がれた。
「しーっ、静かに。由布子に聞こえる。なにを意識してるんだ。親が子供の背中を流すなんて、良い絵面だろ?」
義父は気色悪く唇を歪ませて笑った。
「なに言っ……」
「どうしたの? お風呂場、大きな音がしたけど……あら? 二人でお風呂に入ってるの?」
お母さんだ。来てくれた!
「お母さ……」
「ああ、そうだよ。たまには息子孝行するよ。裸の付き合いでゆっくり話そうと思ってさ。親子のコミュニケーションてやつ」
再び俺の口を塞ぎ、義父は声のトーンを柔らかくして言った。
浴室の扉の向こうで母親が嬉しそうにしているのが伝わる。
「そう! そうなの! わかった。ゆっくり入っててね。そのあいだに煮物を美味しくしておくから」
お母さん、待って。違うよ。なんか変なんだ。行かないで……!
「ほら、由布子が喜んだだろ。こんなことで喜ぶんだ。ガタガタ騒ぐなよ」
強い力で押さえつけられると、恐怖と不快が募る。
意思に反して体も声も自由が効かなくなっている俺を、義父はニヤついた気持ち悪い顔して、浴槽へと引っ張りこんだ。
「ほら俺にもたれろ」
義父が俺を背中から抱き、体をぴったりとくっつけてくる。そしてまた、全身を撫で回し始めた。
気持ち悪くて気持ち悪くて吐きそう。こんなの親子のコミュニケーションなわけない。なのになんで俺は声ひとつ出せないんだ。なぜこんなに体に力が入らないんだ。
──怖い──
「湯に浸かってんのに震えてんのか。寒くないだろう? 悠理は可愛いなぁ」
義父が耳元で粘着質に話しながら手を動かす。
その手が徐々に下に降りて腹を回し撫で、さらに太もものあいだへと進んだ。
背中に当たる、硬く熱いものと、荒い息。
「やめろっ……!」
やっとの思いで大声を出した俺は、義父の鳩尾に肘を強く打ち付けた────
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