2.後宮

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「あ、すみません。私たちは武家の者ですから、立派に戦死した父を誇りに思いますし、逆恨みなど決していたしません。弟もきっといつか見つかると思っています」  そう言って翠香は微笑んでみせた。加亮は中性的な美貌を悲しみでゆがませ、同情を寄せるように目を伏せた。 「そうおっしゃっていただけると、皇帝陛下の自責の念も軽くなることでしょう。陛下はあなたの父上に大変な恩義を感じています」  そんな話は信じない。必ず復讐を成し遂げる。翠香は深く息を吸い込み、皇帝の住まいへ続く門を睨んだ。風が吹き、翠香の背後で老松の林がざわざわと揺れていた。
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